AIによって「経理」は無くなるか?
ここ数年で一気に発達したAI(人工知能)。
簡単に言えば「人間の知能を再現したコンピュータシステム」のことで、与えられた情報を学習・応用し、様々な処理を行うことが可能です。
そんなAI、私たちの生活の中でも非常に身近な存在になりつつあります。例えば、CM等で見かけることも多い「Siri」や「Alexa」などの「AIアシスタント」と呼ばれる存在。
一部の人は日常的に使っているのではないでしょうか。また、もっと身近なところでいえば、YouTubeで動画を見たとき、Amazonで買い物をしたとき、これまでの視聴・購入履歴から「あなたへのおすすめ」を提案しているのも、AIです。
このようなAIの進出が、この先経理の仕事をも奪っていくのではないかと言われています。
もちろん、既に会計ソフトが一般に普及しているように、日々の仕訳や月次試算表の作成など、作業的な処理はAIでも可能、むしろ正確にミスなくこなしてくれるかもしれません。
ただ、そのデータを見たうえで、それが良い数字なのか悪い数字なのかを分析・判断し、更に経営層へプレゼンテーションし、人間の思考に訴えかける、といった能力までは、AIには備わっていません。
こういった支出があり、このような数字になった、ただそこにある事実を提示するまでで終わりで、それをもとに何をどう判断し、どこへ向かって舵を切るかは、まだまだ人の手に委ねられていると思います。
結論、私は経理という仕事は、「完全になくなることは無い」と思っています。
有名な話ですが、2016年、マイクロソフト社が開発を進めていた「Tay(テイ)」という「Twitterなどのインターネット上でユーザーと会話をしながら学習し、発達するAI」がありました。
しかし、その実験はすぐに中止になります。
理由はTayが「ヒトラーは正しい。私はユダヤ人が嫌い。」と発言したためでした。
正式な原因は語られていないそうですが、つまりはTwitter上でTayに対し、差別的な発言をしたユーザーが複数おり、それらの暴言を元に学習を重ねた結果、
Tay自身もそのような発言をしてしまったのだと考えられています。
このように、いくらAIが精巧・緻密に学習し処理をしたとしても、
それを使う(育てる)側の人間の考え方が間違っていれば、メリットがないどころか悪い結果を引き起こすことは十分考えられます。
また、経理のお話をしましたが、実は我々人材業界にもAIの波は押し寄せています。
求職者の方の年齢・性別・学歴・経歴…etc.と求人企業側の求める人物像を自動的に照らし合わせマッチングする、そんなAIが既に開発・運用されています。
こういった中で私たちアドバイザーがしなければならないことは、既存の情報だけではない、
「求職者や企業本人も気付いていないニーズや条件」を見つけたうえで、
そこを結びつけることだと思います。
「AIでも出来る仕事」ではなく、「AIを上手く使った効率的で質の高い仕事」ができるように、日々自分を磨いていかなければと思う今日この頃です。