古き悪しき
年始に親戚の家に集まってみんなで食事をしたときのことです。
従姉妹が、結婚相談所を介して知り合った方と結婚することになったとのことで、
終始その話題で持ち切りでした。
母や伯母(従姉妹からみても伯母です)は、お相手と出会うところから定期的に話を聞いていたようで
出遅れたわたしは、お相手の年齢や仕事、結婚相談所で知り合ってからお付き合いに至るまでの流れなど
基本データの収集を行い、やっと話題に追いつくことができました。
丁度年末に両家顔合わせの食事会を行ったらしく
いよいよ入籍・挙式の日取りをどうするか、という段階とのことでした。
伯母は、結婚式用の自分の着物を新調しないといけないから
日取りが決まったら早く教えてほしい、と誰よりも突っ走っていました。
お相手はどのあたりに住んでいるんだっけ?という話になり、従姉妹は
「〇〇町の、あそこのコンビニを曲がって、その先の坂になってる道を上っていくと…」
と口頭で説明しますが、隣町ということもありいまいち詳しい場所がわからないため
「どんな家か見に行った方がいいんじゃないか」と伯母が言い出します。
…かわいい姪っ子が心配なのでしょう。
口頭の説明では埒が明かず、でも実際見に行くのはよろしくないだろ…と思ったわたしは
「Googleマップで見てみよう」と提案してみました。
すると、それがいい!とみんな乗り気になったので
恥ずかしがる従姉妹から半ば強引にお相手の住所を聞き出して検索しました。
わたしのスマホで表示したストリートビューをみんなで回し見していると、
「実は…」と、従姉妹がお相手の家に行ったときに
こっそり撮影したという家の外観写真を見せてくれました。
セルフでストリートビューやってるやん。早く言ってよ。
Googleストリートビュー、航空写真、そして従姉妹によるセルフストリートビューを確認し
伯母も少し安心したようでした。
百聞は一見に如かず、です。
よかったよかった。
しかししばらくすると、やはり心配なのか
伯母が「『聞き合わせ』をした方がいいんじゃないか」と言い出します。
聞き合わせって?と母に尋ねると
結婚前に相手の家の近所でその人について聞いて回る、所謂身辺調査だと教えられました。
…やめなはれ。
お相手にバレたら最悪破談になるかもしれないです。
ですが伯母は、どうにもかわいい姪っ子が心配でならないのか
「だって結婚した後に良くない人ってわかったら大変だし…」と退きません。
顔を見れば安心するかと思い、今度はお相手の写真がないかと従姉妹に尋ねると
恥ずかしがりながらもデート中に撮ったというツーショット写真を見せてくれました。
もう色々と面倒だったので、写真はちらっと見ただけですが
「優しそう~!良さそうな人じゃん!!」と少し大げさに褒めて回覧しました。
しかしその後も伯母はずっと聞き合わせをしようかどうかと話していました。
もう伯母を説得するのは無理だと諦めたわたしは、
親戚の家が寒いことを理由に、早々に退散することとしました。
そんなお正月の一幕でした。
伯母が聞き合わせをしませんように。
従姉妹のお相手の方が本当に優しく良い人でありますように。
もうわたしには祈ることしかできません。