母のおねだり
私の家族は、姉妹共に高校卒業と同時に家を離れたということもあり、
仲は良いですが普段はお互いにあまり連絡を取り合わず、
年2回帰省する際に近況報告をするというスタイルでした。
20年近くそんな感じでやってきましたが、両親ももうすぐ80歳。
不謹慎かもしれませんが、あと何回会えるかわからないと思い、
ここ数年は、以前より頻繁に連絡を取るようになりました。
3年前くらいからでしょうか。
私が「何か欲しいものがあれば送るよ」と言って以来、母からのおねだりが止まりません。
551の蓬莱セットに始まり、体に負担のない特殊なクッション、
歩きやすい靴、多機能エコバック、遠赤外線ヒーター、…等々。
「年を取って物欲がなくなった」と言っていたはずが、出てくる出てくる(笑)
そして今年の母の日。電気圧力鍋がほしいと言ってきました。
うちは、父が50代で早期退職して以来、料理担当は父のはず。
料理からはとっくに卒業した母が、今更何をするというのでしょうか。
「え?お母さん、料理するの?」という私の問いに対して、
「年2回、黒豆を炊くのに使うのよ。普通の鍋だと3時間もかかってガス代も高くなるし、
料理してる間目が離せないから、電気圧力鍋で炊きたいなぁ。」と、
自信満々でプレゼンしてくる母。
ついさっき、最近携帯ゲームにハマっていて、何時間もゲームをしていると話していた母ですが、
どうやら黒豆を炊く3時間は持ち合わせていないようです。
いや、それ以前に、年2回の黒豆、、、要らなくない?
頭の中でモヤモヤを感じながらも、これも親孝行と自分に言い聞かせ、
電話を切った後、母の希望する電気圧力鍋をネットで調べ、ポチりました。
近い将来、食器棚の奥底に眠る羽目になることは目に見えていますが、
せめて2023年のお正月には、母の炊いた黒豆が食卓に並んでいることを期待したいと思います。