中学生時代のせつない話
中学生の頃、「職業体験」という授業がありました。
地元にある様々な職場を数日間体験する、
今でいうところのインターンのようなプログラムです。
スーパー、ドラッグストア、介護施設、様々な選択肢がある中で、
私は地元のとある小学校を選びました。
「学校の先生」って、なんかかっこいいし、
みんなに慕われそうだし、ちょっとアリかもな…
なんて、当時は思っていたからです。
私を含めた同級生6名が、その小学校に体験へ行くことになり、
各学年の1クラスに、1人ずつ着任することに。
私は4年生のクラスでした。
4年生というと、低学年よりはしっかりしつつ、
かといって高学年ほどスレてもいないような年代で、
とっても仲良くしてくれました。
○○おにいちゃん、的なところから、
「○○にぃ」とあだ名までつけてもらったりなんかして。
当時、友達からは下の名前で呼ばれることが多かった私は、
あだ名をつけてもらうのが生まれて初めてで、
それが嬉しかったのをよく覚えています。
とあるお昼休憩、私は、クラスの女の子達からは
「○○にぃ、一緒に教室でプロフィール(当時女の子の間で流行っていたモノ)書こうよ~~~」と言われ、
男の子達からは、「○○にぃ、グラウンドでドッヂボールしようよ~~~」と言われ、
廊下で両腕を引っ張られていました。
なに、このマンガみたいな状況!!
満面の笑みを浮かべ、
「もぉ~~~おれは1人しかおらんよぉ~~~」みたいな、
今思うと超キモい返しをしていたところ、
一緒に職業体験へ来ていた同級生が通りがかりました。
彼はI君。
サラサラのロングヘアーがトレードマークの、物静かな男の子。
小学生の頃、自分の筆箱でヤモリや虫を飼ったりして、
たまに脱走してはプチ事件になる、ちょっと独特なセンスを持った子でした。
I君は6年生の担当です。
I君「おぉ…、大人気やんか」
私「ははは…困ったわ(照)」
I君「ほんで、なんかあだ名まで付けられてるやん」
私「そうなんよ~。あるあるなんかなこれ?Iもなんか呼ばれてる?」
I君「えっ?いやぁ~~~…おれは…」
I君がなぜか言いよどんだその時、
階段からぞろぞろと6年生の軍団が降りてきて、I君へ向かってこう言いました。
「おい!先にグラウンドでドッヂボールの場所取りしてこいって言ったやろ!」
「はよ行くぞ!背後霊!!!」
I君は、「じゃあおれ、行くわ…」と、
何とも言えない表情で去っていきました。
そしてその瞬間、
私の「将来の夢リスト」から学校の先生という選択肢が消滅しました。
やんちゃな生徒をしっかり指導し、モンスターペアレントとも戦い、
過酷な重労働と向き合っておられる、すべての先生方へリスペクトを贈ります…。