テラビアンの法則
私は11歳の愛犬と一緒に暮らしています。今まで何度か引っ越しをしていて、
その度に地域の動物病院にお世話になってきましたが、
これまで出会った獣医さんは、
初対面から好印象を持てるような、とても感じの良い先生ばかりでした。
どの先生もさほど印象は変わらず、「にこやかで優しい先生」です。
今住んでいるエリアに引っ越してきた時も、
同じように近所の動物病院を探し、
そこにお世話になることに決めました。
がしかし、「にこやかで優しい先生」が当たり前だと思っていた私は、
その先生と出会って衝撃を受けたのです。
動物とのコミュニケーションは抜群!
反面、人間とのコミュニケーション能力がすこぶる低い…。
私と目を合わせることもないし、会話の途中で明らかに不機嫌になってる!
気難しそうな人柄で、なぜかこちらが気を遣っている感じが心地悪い…。
しっぽふりふりでご機嫌の愛犬と、
参ったな~と頭を抱える飼い主の構図、
最初はいつもこんな感じでした。
当然、近所の評判も賛否両論で、否定的な考えの人たちの中には、
会う度に「病院を変えた方が良い!」と言ってくる人もいました。
ただ、そこは私にも変なポリシーがあって、
愛犬が気に入っている以上安易に変えるわけにはいかないと、悩みながらも通い続けました。
1年半前、心臓病の疑いで精密検査をした愛犬。数日後、
「検査の内容をお伝えするのと、今後の方針や飼い主さんの考えを聞きたい。
一度診療時間外に来てください。」
と電話を貰い、ちょっと緊張しながら一人で病院へ。
結果はやはり心臓病。
これは犬種柄そろそろかなと思っていたので準備はしていたのですが、
話題の中心は、今後の方針を一緒に考えようというものでした。
極端に言うと、「犬としての生活を守る」のか「少しでも寿命を延ばす」のか。
診療時間外に約2時間、
飼い主である私の考え・・・
獣医師としての先生の考え・・・
先生の個人的な考えと・・・
様々な視点から、犬の幸せってなんだろう?
ということについて話し合いました。
正直、こんなに飼い主に寄り添ってくれる先生は初めてで、
これを機に、先生に対する印象はガラッと変わりました。
今でも、普段は、やっぱりこの人難ありだな(笑)と感じることはありますが、
いざという時の本気の姿を見せられた私は、
普段のそれさえも、エネルギーを温存しているのだと捉えています。
そして、ぶっきらぼうな対応をされても、
「別に、飼い主に愛想振りまく必要ないでしょ」という全面的に先生に寄せた考えにシフトし、
今では愛犬共々毎月楽しみに通院しております。
もはや定説として浸透していますが、
第一印象はその人の評価や好感度を大きく左右し、
最初に悪い印象を持たれてしまうと、後に繰り返し会ったとしても、
挽回することは難しいと言われています。
調べてみると、メラビアンの法則という名前までついていました。
いくら第一印象が悪くても、中身が本物であれば、
その印象の悪さは相手を変えるスパイスとして働くこともある。
愛犬の名前を借りて、テラビアンの法則と名付けます。