「暑いでござる」
8月初めのとても暑い日のお昼頃でした。
私はその日、所用があり、神戸の山の手のお上品な住宅街の中を歩いていました。
「めっちゃ暑いなぁ」と思いながら。
と、私の前を歩いていた、推定70歳位の女性が、
反対側から歩いてきた同い歳位の女性とすれ違い様に「暑いでござる」と話しかけました。
お相手の女性も、一瞬間があったのちに「暑いでござる」と返して、二人で大笑い。
多分、ご近所にお住まいの、顔見知りの方同志だったのでしょう。
二人とも、大笑いの後「ほなね」と言って別れました。
「暑いでござる」かぁ・・・
さすがに、おばちゃんはすごいなぁ。
多分、「暑いでござる」と話しかけた方は、咄嗟にでたアドリブだと思うし、
言われた方も、内心「え?何?」と思ったはずなのに
一瞬の間で理解して「暑いでござる」と返す。
うーん。
素晴らしいコンビネーション。
これが、おっちゃん同志なら、絶対にこうはならないと思います。
ご近所さん同士で「暑いでござる」なんて言葉は、恥ずかしくて言えないだろうし。
「イヤー暑いですなぁ」的な言葉が一般的な感じでしょうか。
仲が良ければ「あっついなぁ」位はあるかもしれませんが。
「暑いでござる」のような高度なフレーズはなかなか言えません。
そこで。
試してみました。
私も、さすがに、同じマンションやご近所で、そこまで仲の良い方はいないので
ゴルフ仲間である後輩で試してみることにしました。
朝、ゴルフ場で最初に会った後輩に言ってみました。
私「暑いでござる」
後輩「ん? 何ですか?」
私「いや、あの、暑いなぁと思って」
後輩「そりゃそうですよ。真夏だし」
私「だ、だよね~」
やっぱり。
「暑いでござる」作戦、案の定失敗です。
別の後輩にも試してみようかと考えましたが、そこまでの気力もなく。
諦めました。
あの、一瞬の切れ味をおばちゃん以外に求めるのは無理。
結論:やっぱ、何をしても、どんな場面でも、おばちゃんには敵わないでござる。